人身事故における特定違反行為と一般違反行為

2021年10月14日 08:47

人身事故にも種類があり、一般違反行為または特定違反行為のどちらかに分類されます。

これは、2009年(平成21年)6月1日に行われた道路交通法改正によって定められた仕組みです。


ひき逃げや飲酒運転などの悪質かつ危険極まりない行為が要因となった人身事故は、特定違反行為に該当します。

特定違反行為に該当しない人身事故は全て、一般違反行為として処理されます。


特定違反行為の飲酒運転と一般違反行為の飲酒運転の違い


これらの例としてわかりやすいのが飲酒運転です。

飲酒運転は、特定違反行為にあたる酒酔い運転、そして一般違反行為に該当する酒気帯び運転という2つの法律違反で構成されています。


酒気帯び運転は呼気中アルコール濃度によって判断されます。

呼気中アルコール濃度が0.15mg/l以上・0.25mg/l未満の場合は基礎点数13点に加えて90日間の免許停止、0.25mg/l以上の場合には基礎点数25点だけでなく欠格期間2年付きの免許取消しとなります(どちらも前歴や累積点がない場合)。


これに対して、酒酔い運転には酒気帯び運転のような数値化された条件はありません。

「アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態」が酒酔い運転にあたると定義されています。


酒酔い運転の基礎点数は35点で、圧倒的に酒気帯び運転よりも罪が重たいです。


例えば行政処分前歴の無い人が酒酔い運転で人身事故を起こした場合、この基礎点数35点に人身事故による付加点数が加われば最低でも累積39点となります。

この場合、免許取消と欠格期間3年の行政処分が科されるのです。

同じく行政処分前歴の無い人が0.25mg/l以上の酒気帯び運転で同じ事故を起こしたら、最低29点の累積となります。

この場合も免許取消ですが、欠格期間は2年です。


同じ人身事故でも、特定違反行為の事故では一般違反行為の場合よりも厳しい処分が科されることがわかります。

なお、上記の欠格期間は、免許の取り消しとなった運転者が一定期間中に再度免許の拒否や取り消し、または6ヶ月を超える運転禁止処分を受けた場合に延長されます。