人身事故によって科される3つの責任:刑事・民事・行政処分

2021年10月21日 02:20

事故の程度によって違いはありますが、人身事故が起きた時点で

刑事処分・民事処分・行政処分を科される可能性が生まれます。

それぞれの処分がどういうものかをみていきましょう。


◆罰金や懲役の「刑事処分」


刑事処分とは、道路交通法や自動車運転処罰法などの法律を犯したことで科される、罰金や懲役などの処分です。

刑事処分の例として、自動車運転死傷処罰法の第5条「過失運転致死傷罪」が挙げられます。


自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。

ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。


 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 第5条より


◆免許停止や免許取消の「行政処分」


運転免許における行政処分とは、道路交通法ならびに道路交通法施行令に則って各都道府県の公安委員会が執行する運転免許の停止・取消などを示します。


人身事故が発生した場合、安全運転義務違反の2点、並びに2~20点以上の付加点数が累計されます。

付加点数は事故の種別(死亡、あるいは診断書に記載された全治日数)によって決定されますが、人身事故となった時点で少なくとも4点以上累計されるのは確実です。


点数制度では累積で6点以上に達した時点で免許停止あるいは免許取消です。

つまり、人身事故を起こした時点で交通違反による累積が1点以上あれば、免許停止となります。



◆被害者への賠償責任となる「民事処分」


加害者は人身事故の被害者へ損害賠償を支払う義務が発生します。

これが民事処分です。

通院による治療代や破損した車両の修理代、怪我・後遺症によって働けず失われた収入の補償などが該当します。